2008年01月14日

アルバム・オブ・ザ・イヤー一等賞

The White Strips - Icky Thump

The White Strips - Icky Thump

ラカンターズがあれだけ良かったので、本家の方は一体どうなるのか、ちゃんとしたものが出来て来るのか不安視する声もあったというのに、またとんでもない作品が生み出されたものだ。艦長代理共々文句なしに07年のベストワンに挙げた、威風堂々とした「ロック・アルバム」である。

ロック・アルバム、と一言で言い切ってしまえることがここでは重要で、ポスト・ロックやらガレージ・リヴァイヴァルやらポスト・ニューウェイヴやらニュー・レイヴやらといった様々な形で過去の遺産が細分化され再利用され挙句蹂躙されまくっている00年代の潮流にあって、例えば僕の様にしばらく現役リスナーを退いていたオッサンロックファンにも「おっ、えらい王道やんか」と即座に納得させ、同時にブランクすっ飛ばしたエキサイトを覚えさせるに十分な伝統主義が端々に根付いているからこそ、ここでの轟音には他とは一線を画する品格が備わっている。踏み台がしっかりしているから、どんな無茶苦茶なジャンプかましてもちゃんと着地点があるという強みがある。

ブルースなるルーツ・ミュージックに対するジャックの底なしの畏敬の念が、デトロイト経由ナッシュビル行の行程でより激しいうねりとなって結実した証が本作だ。 (夫)

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タイトル曲イッキィサンプをRSコムかトリップワイアかどっかで一聴しただけで看破した私がいちばん偉い。 (嫁)


アルバム・オブ・ザ・イヤー二等賞

Babyshambles - Shotter's Nation

Babyshambles - Shotter's Nation

まずもって全曲、楽曲としての体裁が格段に整っている点に愕然とする。これがあの稀代のロック放蕩息子、ピート・ドハーティの作品か、と。素でクオリティめっさ高し。これはもう疑う余地無くプロデューサーのスティーヴン・ストリートの所作によるものだろう。数多のUKギター・バンドを手掛けて来た手練が、面白いほど随所で鮮やかに発揮されている。

これまでのピートといえば、詩もメロディも天才的な閃きを感じさせながら、その放埓なライフスタイル同様、エンド・プロダクトの段階ではダン・トレーシー並みの博打気分で臨まないとやってらんねえ、というくらいグダグダなのが相場だった。リバティーンズの危うい魅力もそこに起因していた。この辺の事情はカール率いるダーティ・プリティ・シングスを聴いてみれば一目瞭然だろう。

それが本作ではどうだ、やたら達者に鳴り響くバックトラックの秀逸さといったら!素晴しいのは、これら演奏面と毎度御馴染みピートのヘロヘロ・ボーカルとがまるで乖離現象を起こしておらず、至極真っ当で極上のロックンロールとして仕上っている点だ。正直この歌声だと好みが激しく分かれるかも知れないが、リバティーンズから現在に至るこの人の変遷を知らない新規の客にも安心して試して貰えるだけの品質が本作でようやく身に付いたといえるのではないか。なんか上手いことなだめすかしたんだろうかスティーヴン、あのイアン・ブロウディでさえ匙投げたっていうのに。

この先死ななかったら、そう、死にさえしなければ、このバンドでの黄金時代だって十二分に予見される、改めてピートの天賦の才能を満喫出来る珠玉の一枚だ。 (夫)

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元カノ(90sで終わった元スーパーモデル)ネタと裁判ネタでマスコミから延々とツツかれる中で「今年中にアルバム丸っぽ一枚出したるわボケ」と半ギレして勢いで作ったもんだからどうなることかと思ったら何かもうロックが先かピートが先かっていうところまで来てしまってますね。お見逸れいたしました。どうか長生きして下さい。 (嫁)


アルバム・オブ・ザ・イヤー三等賞

Patrick Wolf - The Magic Position

Patrick Wolf - The Magic Position

ウチら夫妻の海を越えた脳内息子として勝手に認知された素薔薇し過ぎるスタンドアローン、パトリック・ウルフの最新作。もう全開。ルックスはいいわ背も高いわでアイドル要素満載なのに、演ってることは致命的なまでにあっち側。見てくれは切出翔なのに頭の中身は来津輝という、一部にしか通じない例えまで引き合いに出したいくらい弾けまくったこの子の巨大な才能は、楽曲から溢れ出て遂にアートワークにまで伝播してしまった。ピーガブやケイト・ブッシュの系譜に属する一人多重録音型マルチ・アーティストであり、頭の中で常時花火上がってんのが伝わるくらいトゥー・マッチな作風も見事に先達の轍を踏んでいる。全編通じて、「あ、今一線越えたな」という瞬間が何度も訪れるのは最早芸風だろう。

ほぼ日替わり状態で様々なムーヴメントが栄枯盛衰の悲喜劇を描く中、こうした突然変異的極彩色の才能が何らの後ろ盾も無いまま好き勝手に跳梁跋扈する様を目撃するのは心底痛快だ。有り余る奔放なイマジネーションと手に手を取って、未だ見ぬ楽園への一本道を独り歩むパトリックを一体誰が止められよう。些かのタイムラグを置いてめでたくエンハンスト仕様の日本盤もリリースされた模様なので、ロックだポップだのに拘らぬ、日常のルーティーンからほんの少しでも逸脱出来る上物を欲している方には、自信と責任をもってお薦めしたい一枚だ。どうかこの親心、察して下され。 (夫)

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ピーガブちゃん弐号のお誕生お慶び申し上げます。 とにかくすごいのでまだの人はさっさと聴くように。って親が頭下げてるんでよろしく。(嫁)


あとがき

この他、クラップ・ユア・ハンズとかクリブスとかマーク・E・スミスとかプリンスとか、色々新譜買えたんで一行ずつだけでもコメント書きたかったんだけど力尽きちまった。上記の3枚がウチに来ただけで御の字。この先多分、マイスペースとかの影響で個人ごとのマイベストとかどんどん枝分かれしていくんだろうね。そっちの方がヘンな全体主義にいくより面白いかも。みんなレディオヘッド、オアシス一辺倒はやめにして、健全な個人主義を築いていこうね。 (夫)

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今年は夫、嫁ともものの見事に上の3枚で意見が一致してしまったのでこんな感じになってしまいました。殿下やドゥルッティ・コラムもいたっちゅうのに。ブサ姉弟やP太にしてやられました。最後にピープルオブザイヤー部門への該当者が居なくて寂しいです。 (嫁)


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