2008年06月01日
The Raconteurs - Consolers Of The Lonely (2008)

2008年/国内盤/ワーナー・ミュージック・ジャパン(解説:中村明美)
個人的にベックやトム・E・ヨークの時にはこれっぽっちも感じなかった「時代の声」みたいなものをジャック・ホワイトの歌声から嗅ぎ取ってしまうのは一体何故なんだろう?本作を聴きながら、改めてそんなことを考えた。本家ホワイト・ストライプスとは対照的にきわめてロック・バンド然とした布陣で臨む副業の第2弾、これがもはや副業と呼ぶのが憚れるほどの完成度。耐震補強バッチリの建造物よろしく磐石なプロダクションの下、まるで黄金の70年代ロックにモダンな息吹を与えて今に蘇生させたかのような部厚く緻密なバンド・サウンドが高らかに鳴り響く。その見事な音圧を力技で統べているのが、例のジャックによるエモーショナル極まりないボーカルだ。前作と同じく曲により手分けしてメインで歌っているブレンダン・ベンソンも今回かなりの健闘を見せているが、やはりジャック、彼に尽きる。現行ミュージシャンの中でも古典への参照度は屈指の高さを誇りながら、この声の切迫感だけは現況への抗い難い批評性として耳に響く。温故知新、その本来的な意味/意義をその身をもって体現しながら時代の最前線に立ち続ける猛者の近況報告として、本作は見事に成功している。