2008年11月02日
Midnight Oil - Blue Sky Mining (1990)

1990年/国内盤/エピック・ソニー(解説:大森庸雄、山田道成)
世に「政治的な」メッセージ・ロックを標榜する輩は枚挙に暇が無いが、実際後になってリアルで政治家になってしまったというミュージシャンは彼を措いて他に例が無いのではないか。かつて“オーストラリアの巨人”と謳われ、現在では自国の環境大臣を務めるピーター・ギャレットその人が率いた本グループ、ある意味彼にとって格好の研鑚場として機能したようで、強い政治理念に基づく氏の最新のテーマをその都度反映させる機敏なフットワークの音楽性は実に見事だった。世界的にヒットした前作『ディーゼル・アンド・ダスト』ではアポリジニ問題を大きくフィーチャーし、90年代最初の一枚となった本作では地球規模の自然破壊を主軸に据えるといった風に、具体的なエピソードや固有名詞を散りばめつつ強硬にリスナーに迫るというスタイルはデビュー当時から不変で、秀逸なメロディ・ラインと多彩なアレンジとで構成された情熱的なギター・ロックながら今ひとつ感情移入させ辛いのは致し方無しといったところ。ただピーターの歌い手としての表現力やバンドの音楽的充実度は今作がピークといってよく、理念は共有出来ずとも十分に楽しめる内容に仕上がっている。