2009年01月11日
Kirsty MacColl - Kite (1989)

1989年/国内盤/発売:ヴァージン・ジャパン 販売:ビクター音楽産業(解説:山田道成)
結構なキャリアを重ねたSSWの作品に向かって今更自然体という形容もどうかと思うが、本作における彼女のニュートラル感、強力なバックの布陣を従えての動じなさ加減を前にすると、どうしたって他の言葉が見当たらない。流石はポーグスの名曲「ニューヨークの夢」で夫役のシェーンに向かって啖呵を切って見せた人だけのことはある。没後のささやかな再評価もあって主にギター・ポップ/ネオアコ方面で傑作の呼び声が高まったものの、まだまだ世間的な認知度は作品の素晴しさに追いついていないと言わざるを得ない。彼女自身による芯の通ったハスキーなヴォーカルは言うに及ばず、情緒過多にならぬ上品なメロディ・ラインといい、フォークやカントリーを下敷きにしつつも細部に亙って「英国らしさ」(彼女本人はアイリッシュだけど)で彩られた編曲といい、これはどこをとっても一級品のクラシカル・ポップ・アルバムだ。夫君のスティーヴ・リリーホワイトによるプロデュースも、公私混同を逆行する徹底した仕事人ぶりを発揮して、作品のフィニッシュ感に一大貢献を果たしている。ジョニー・マーやデイヴ・ギルモアの参加がささやかな華を添え、ここに裏方仕事の多かった彼女の才能が存分に表立って開花した。ウチにあるだけで幸せな気分になれる一枚。