2009年07月05日

Gordon Haskell - All In The Scheme Of Things (2000)

Gordon Haskell - All In The Scheme Of Things (2000)

2000年/国内盤/ベル・アンティーク(解説:内田哲雄)

個人的に40代が視野にハッキリと入る年齢に達したせいか、最近とみにこの手のしっとりと落ち着いたSSWモノをトレイに乗せる機会が増えて来た様な気がする。つい先日などはスロー・ザット・ビート!の『スーパースター』が辛くて最後まで聴けなかった。ただ、そうは言うものの、未だマニックスやプラシーボの新譜には心踊らされるのだからよく判らない。年取って各ジャンルへの審美眼が偏狭になってしまったのだろうか。まあそんな僕個人の問題はともかくとして、これは文句無しに傑作。英国産ベテランSSWによる通算8枚目となる本作は、ちょっと聞き流すと「え、AORの人?」と勘違いされそうなほどメロウでアダルトな雰囲気に包まれた作品なれど、ちゃんと聴き込めば流石はロック界の荒波に揉まれて来たキャリア組だけのことはある芳醇な味わいに気付かされる筈。ライナーでも触れられているけれど、ジョン・マーティンと実に似通った声と曲調も、ズバリ僕好みだ。元キング・クリムゾンのベーシスト/ヴォーカリスト、との肩書きなど全く必要無い。


Limblifter - S/T (1996)

Limblifter - S/T (1996)

1996年/国内盤/発売:マーキュリーミュージックエンタテインメント 販売:ポリグラム(解説:小野島大)

カナダはバンクーバー出身、兄弟含有パワー・ポップ・トリオによるデビュー・アルバム。僅か10回のリハーサルを経てデモ・テープ一本のみでメジャーとの契約を取り付けた、非常に幸運なバンドである。その割には今現在誰の記憶にも残っていない気がするが、つまりは期待されたほど、というか、まったくもって売れなかったということだろう。敢えてトピックを挙げるなら、ベーシスト交替後の00年にセカンド・アルバムを出した後、フロントマンのライアン・ダール(兄)を残してドラムのカート・ダール(弟)とベースのトッド・ファンシーが何とあのニュー・ポルノグラファーズに加入したということくらい。裏を返せば・・・の線で、本盤で聴かれる新人離れしたソングライティングと演奏力から、ニュー・ポルノグラファーズのスルメ的ポップ・センスとの相関性が導き出せれば幸いだったのだけど、残念ながら正直その辺のことは全く定かではない。ただ、程好くパンキッシュに弾けるキャッチーな楽曲群は、四の五の理屈を垂れずとも十分に楽しめる。トリオながらこれだけ重厚感があるのは立派。


WAX - American English (1987)

WAX - American English (1987)

1987年/国内盤/RVC(解説:赤岩和美)

活動停止状態になった10CCのグラハム・グールドマン、その10CCのプロデューサーとしてアメリカから招かれながら、終ぞ作品が日の目を見ることの無かったアンドリュー・ゴールドという、今になって考えると当時運気が相当悪そうだった英米の両氏によるコラボ。当初はコモン・ナリッジなる名前で活動するもパッとせず、RCAに移籍後WAXに改名して仕切り直し、数えてこれが2枚目のアルバムとなる。ただ、コモン・ナリッジ時代はシングルのリリースしか無かったので、実質的にこれがセカンド・アルバムといって支障無かろう。僕は10CCでいうと圧倒的にゴドレイ&クレーム派なので、正直このデュオに対する興味はそれほどのものではなかった。実際、本盤もここで太鼓判を押せるほどの傑作とは口が裂けても言えない。ここから先は完全に個々人の趣味嗜好の問題で、この、適度にモダンで適度にエモーショナル、加えてメロディはかなり甘めなサウンドを楽しめるか否かで評価は分かれそうだ。ヒプノシス・チームと組んだヴィジュアル面は健闘しているが。


2009年07月04日

Llama Farmers - El Toppo (2000)

Llama Farmers - El Toppo (2000)

2000年/国内盤/徳間ジャパンコミュニケーションズ(解説:小林英樹)

この人達のCDは、その内容は勿論のこと、(国内盤では2枚のみのリリースとはいえ)ジャケットを含めたアートワークが非常にチャーミングなものだったので、視覚的にも毎回楽しませてもらった。こればっかりは日夜PCや携帯と首っ引きになってダウンロードに勤しんでいる今の若い世代には中々味わえない醍醐味だろう。その点で云うと、嗜好品としてのCDの魅力を再発見させてくれる一枚といえるが、本人達にとってはいい迷惑かも知れない。実際もしその辺を質問でぶつけたら、「いや、俺達は音楽の力だけで勝負したいんだよ!」と速攻で切り返しそうな(結構クールらしいが)ハタチそこそこのバーニーと、この当時ですら未だ17歳!だったジェニーのシンプソン兄妹を中心としたギター・バンドのセカンド・アルバムは、若いながらも歴史あり、何もロック・クラシックばかりにルーツを求めなくても近接する80、90年代の音楽も十分に下地足りうることを鮮やかに証明してみせる好作に仕上がっている。元レーベルメイトのシーフードにも通ずる曲作りの巧さだ。


2009年06月28日

Material Issue - International Pop Overthrow (1991)

Material Issue - International Pop Overthrow (1991)

1991年/国内盤/日本フォノグラム(解説:増渕英紀)

97年にフロントマンの自殺という最悪の事態により余儀なく活動停止へと追い込まれた悲劇のバンドによる、マーキュリーからのメジャー・デビュー・アルバム。僕も家人も本作が国内でCD化されていることを全く知らなかったので、先日中古屋で偶然発見した時には二人して声を上げて驚いた。アメリカはシカゴ出身でありながら、いわゆるマージー・ビートを基調にした弾けるポップ・ロックが売りだったスリーピースで、リック・ニールセンやギルビー・クラーク等をゲストに迎えたサード作は結構な評判を呼んだ記憶がある。86年結成というから、表舞台に出るまでにはそれなりの苦労があったと察せられるけれど、インディーから既発のシングル等を集めてリマスタリングを施した編集盤である本盤を聴く限りにおいては、そうした浪花節的ムードは一切感じられない。後年自ら命を絶つとは想像もつかないジム・エリソンのハイトーン・ボイスが導くのは、流行を度外視した鉄壁のエヴァーグリーン。チープ・トリックやアレックス・チルトン、バズコックス辺りのエレメントが奔放に駈け巡る。


Sister Hazel - ...Somewhere More Familiar (1997)

Sister Hazel - ...Somewhere More Familiar (1997)

1997年/国内盤/発売:ユニバーサル・ビクター 販売:ビクター・エンタテインメント(解説原文訳:池上素美)

帯には「コレクティヴ・ソウル・ミーツ・ブルース・トラヴェラー」なんていう本国アメリカのジャーナリストによる安直なコピーが紹介されていて、もうこれだけで購入意欲を殺がれる人(俺だ俺。大体、コレクティヴ・ソウルなんて俺中古を買ったその日に売りに出しちゃったから)が我が国では散見されそうな一枚ではあるが、なかなかどうしてこれが結構侮れない魅力を備えたディスクなのであった。正直300円という中古価格と、見栄えの良いジャケットが無ければまずウチには来なかった作品とはいえ、全12曲、アメリカン・ロックの地産地消を地で行く様な滋味と活気に溢れた楽曲群を聴いていると、かの地に根付いたルーツ・ミュージックによってじっくりと鍛錬されたローカル・パワーに圧倒されてしまいそうになる。例えば彼等にとってはたまたま拠点がフロリダ州ゲインスヴィルだったというだけで、他の地方都市を探せばそれこそ腐るほど同種のバンドが存在する筈だ。この手のバンドを相手にする度同じことを書いてる気がするが、やはりアメリカは「強い」。そう実感させられる。


2009年06月23日

My Life Story - The Golden Mile (1997)

My Life Story - The Golden Mile (1997)

1997年/国内盤/東芝EMI(解説:岡村詩野)

この手のちょっと浮世離れした、いかにも大英帝国!みたいな古風で大仰なサウンドには、実はかの国では恒常的なニーズでもあるのだろうか。この人達と同時期でいうとあのオアシスに喧嘩を売ったマイク・フラワーズ・ポップスなんてのがいたし、総勢11名という大所帯からは古くはデフ・スクール辺りが思い出される。そして、時代を問わねば次々と思い浮かぶ同系統のアーティスト達・・・トット・テイラー、ルイ・フィリップ、一時期のモリッシー、マーク・アーモンド、ハイ・ラマズ等々。つまりは豪奢な音楽性を身上としながら、通常の社会生活ではそのエゴの在り様に決定的な弊害を負った連中と同じ匂いがこのアルバムには立ち込めているのだ。ブリット・ポップ臭を若干残したオーケストラル・ポップ、という判り易い構造には残念ながらどうしても書き割り的なイメージが付いてまわるものの、例えばM10等で披露されるニール・ハノンの向こうを張ったダンディズムを考慮に入れると、ここのフロントマンたるジェイクは立派な“同類”だったと結論付けられる。


2009年06月20日

Gillian Welch - Revival (1996)

Gillian Welch - Revival (1996)

1996年/国内盤/パイオニア(解説:中川五郎)

ナッシュビル、ブルーグラス、ウディ・ガスリー、カーソン・マッカラーズ、『怒りの葡萄』、『カイロの紫のバラ』等々、このアルバムから連想されるキーワードはそれこそ枚挙に暇が無い。国境を越えた架空のノスタルジアを誘発するアルバム・ジャケットも素晴しいが、内容の方も、あたかもデヴィッド・リンチが大恐慌時代のアメリカを撮ったフィルム・ノワール、その挿入歌集といった趣き。まだオルタナ・カントリーなる呼称すら存在しなかった時代に、ネオ・フォーク・リヴァイヴァリストの急先鋒としてアメリカ本国で注目を浴びたSSW女史が上梓したデビュー・アルバムは、その自嘲気味なタイトルとは裏腹に、温故知新の何たるかを極めてシリアスに伝える充実作となった。プロデュースに名手Tボーン・バーネットを迎え、あくまで終始自らのルーツに従順になったことで、“自然体”という手垢に塗れた言葉に再び光を当てる成果をもたらした点が称賛に値する。例えばマリア・マッキーのようにローン・ジャスティスという「前置き」を必要としなかったところも頼もしい。


2009年06月14日

Manic Street Preachers - Journal For Plague Lovers (2009)

Manic Street Preachers - Journal For Plague Lovers (2009)

2009年/国内盤/ソニー・ミュージック・ジャパン(解説:新谷洋子)

何せリッチーの遺した散文詩をジェームスが歌っているのだ、メンバー達が『ホーリー・バイブル』に続くアルバム、と位置付けるのもむべなるかな、である。本作はバンドが非常に遠回りな原点回帰を果たした一枚であると同時に、3人が自らの加齢を受け入れ、初めてそのことをアルバムという形で表明した一枚だともいえる。それはすなわち、ここに至る道程は決して無駄ではなかったことの事後確認、思想的中枢を欠いた抜け殻が国民的存在にまでのし上がったという矛盾したキャリアを自己肯定する為の十分なよすが足り得る。そして、この歌詞とメロディの乖離具合が改めて突きつけるのは、ジェームス達は立派な音楽バカであった(ボートラでフェルトを嬉々として歌うJさん)が、リッチーはそうではなかったという、あまりにも残酷な事実である。急進的な思想家の随伴で終わるには、ジェームスの才能は豊か過ぎた。ともあれ、支離滅裂なB級パンク・サウンドから早20有余年、今やアルビニのプロデュースによってすらビクともしなくなった彼等の王道たる実力に感服。老いさばらえても歌い続けて欲しい。


2009年06月07日

Of Montreal - Horse & Elephant Eatery(No Elephants Allowed)The Singles & Songles Album (2000)

Of Montreal - Horse & Elephant Eatery(No Elephants Allowed)The Singles & Songles Album (2000)

2000年/国内盤/発売:パルコ 販売:日本コロムビア(監修:井上由紀子)

モントリオールの、なんて名乗ってるからてっきりカナダのグループかと思ってたら、米国ジョージア州はアセンズ出身とのこと。何だよR.E.M.とかと同郷か、だったら田舎者じゃん。でもこの人達ってエレファント6とかいうお洒落な音楽サークルの一員らしいから、やっぱり他とは一味違うのかも。けどあそこのアップルズ・イン・ステレオとかはイマイチだったよな・・・などと色々考えつつおバカなジャケットに閉口しながらプレイ・ボタンを押してみると、全編に亙ってお気楽で賑々しいサイケ・ポップが、さながらバーゲンに押し寄せるオバサン連中よろしく物凄い勢いで繰り出されて来る。一応中~後期のビートルズやビーチ・ボーイズからの影響が指摘されているようだが、僕がパッと聴いて浮かんだイメージは“バーバンク・サウンドを嬉々として演奏するシド・バレット”というもの。ただこれは比較的初期のシングルのコンピレなので、この後の展開については未確認。とにかくフロントマンたるケヴィン・バーンズの「まず自分が演って楽しいものを最優先!」的独走ぶりは称賛に値しよう。


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