2009年09月06日

Orson - Bright Idea (2006)

Orson - Bright Idea (2006)

2006年/輸入盤

メジャー感溢れるメロディ・ライン、抜けの良いハイテンションなヴォーカル、深読みを一切必要としない明快なアレンジメンツと、どれをとってもパーティ・ミュージックとして一級品な要素を兼ね備えたハリウッド出身の5人組によるデビュー・アルバム。この作品、とにかく国内盤仕様がタコで、邦題は「ブライト・アイデア☆ひらメキ!」とかおバカな命名がなされているし、ヒット・チューンのM2に至っては「不良たちに明日は無い!」なんてどうしようもない副題が付けられている。ヴォーカリストのジェイソンが某所でいみじくも語っていた通り、彼等の魅力とは女性も聴いて踊れる飛びっ切りの親和性にあることは確かなれど、それにしてもこの歪曲ぶりは酷過ぎる。近年でいうとサンシャイン・アンダーグラウンドのクレイグと聴きまがうほどキンキンなジェイソンの歌声には、例えばレディオヘッドやミューズにファンが求める類いのシリアスさは望めないにせよ、限られた人生をひとつの舞台に模して狂言回しよろしく様々な場面を演出するエンターテイナーとしての資質は十分認められる。


Victor Davies - Hoxton Popstars (2003)

Victor Davies - Hoxton Popstars (2003)

2003年/国内盤/コロムビア・ミュージック・エンタテインメント(解説:沖野好洋)

仕事中トラックでずっと付けっ放しのFMラジオのとある番組内でオンエアされた瞬間、即効でマイ・フェイヴァリット・ソング(中村雅俊じゃないよ)認定となったM6収録の、英国はロンドン在住のSSWによるセカンド・アルバム。とにかくこの曲をウチでいつでも聴けるようにと、検索かけて人となり調べた後、一も二も無くCDを注文。晴れてこの度我が家のライブラリーに加わる事となった次第。だからブックマンでは珍しく聴きたてホヤホヤ。僕の中ではまだ湯気が立っている。そんな経緯を経た本盤、僕の期待がちょっと大き過ぎたのか、決して悪くは無いが手放しに絶賛出来るほどの内容ではなかったというのが正直なところ。いや、こっち方面は完璧素人の僕でも聴いててマーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドの名前が頭を掠めたくらいだから、クオリティは十二分に高い筈。ただ、このソフィスティケイトのされ方が、今の僕の嗜好と微妙にズレているだけの話なんだろう。アップテンポな曲は件の曲を除くとほぼ皆無で、後はアコースティックなR&Bの弾き語り。多分年末辺りには・・・。


2009年08月30日

The Fratellis - Here We Stand (2008)

The Fratellis - Here We Stand (2008)

2008年/輸入盤

ひとことでいって、呆れるくらいに充実しまくったアルバム。これがまだデビューして2年かそこらの新人バンドが作ったサウンドか!?と、聴きながら思わず唸らされた。パンキッシュでパーティー・ミュージックっぽい雰囲気のあったファーストと比べても、聴後感の重さからして違う。伝統を重ねたブリティッシュ・ロック/ポップの良質なエッセンスを巧みに抽出し、そこに自分達のリスニング体験から影響を受けた様々な音楽要素を織り合わせる手練手管は正に逸材の名に相応しい(特にアメリカン・ルーツ系からの恩恵の示し様は特筆に価する)。恐らくiPodのCMソングで彼等を知った初期ファン達からすると、一聴して刹那的なロックンロール色が薄れていることで多少の戸惑いがあるかも知れないが、だからといってこれを放置プレイで終らせるのはあまりに勿体無い。00年代のロック・シーンはデビュー時からしっかりと音楽的体力と志向性の整った若手バンドが実に多く現れたけれど、本作などはそのことを象徴する一枚に挙げてもかまわないとすら個人的には思う。


Hefner - Boxing Hefner (2000)

Hefner - Boxing Hefner (2000)

2000年/国内盤/徳間ジャパン(解説:岡村詩野)

ギター・ポップ・バンドの「肩の力の抜き方」を良く心得ている人達だな、というのが聴いての第一印象。とはいえ本盤は彼等のオリジナル作ではなく、アルバムには未収録のシングルやそのB面曲、BBCセッションでの既発表曲のヴァージョン違い音源等を集めたコンピレーション・アルバムなので、実際の彼等はもっとシリアスな個性を持ち合わせているのかも知れない。ただ僕個人はこのバンドに接するのはこれが初めてだったので、当時前述のような感想をまず抱いた。適度に隙間を作った軽妙なギター・ポップに、ソングライターでもあるダレン・ヘイマンの甲高く微妙にひきつった歌声が被さると、中々他では味わえない快感が得られる。ローファイとまで行かないまでも、ある意味ヘタウマに近接した彼等のサウンドは、とかくロックに哲学とか人生観とか求めがちな人達の血圧を程好く下げてくれる筈。落ち着きの無いフィーリーズといった趣きのM3、ロバート・スミスがトチ狂って弾き語りにトライしたみたいなM6、スペーシー(笑)と書きたくなるM11等々、聴きどころ満載だ。


The Revelers - Hard Times, Sunday Spirits (1998)

The Revelers - Hard Times, Sunday Spirits (1998)

1998年/国内盤/発売:Pヴァイン・レコード 販売:BMGジャパン(解説:駒形四郎)

88年に結成というから、既にこの時点で10年選手に達していたアメリカはオハイオ州クリーヴランド出身のモッズ・バンドによる、スピンアート移籍後初となるオリジナル・アルバム(3作目)。海外のサイトで調べるとインフルエンスの欄に真っ先にザ・フーの名前が挙げられているのも素直に頷ける、本家本元たるイギリスのモッズ・バンド達に負けずとも劣らない見事なリズム・アンド・ブルース基調のロックンロールがズラリ16曲(ボートラ2曲あるとはいえ尋常じゃないボリュームだな)。レヴェラーズとのカタカナ表記でいうと、我が国のリスナーの脳裏に浮かぶのはまず間違い無くイギリス出身のLで始まる方のそれだろうが、こちらの米国産はそちらに較べると遥かに趣味性が高くマニアック。5、60年代のビンテージ物から近年のモダン・ロック系に至るまで、時流を問わず万遍無くフォローしつつ、最終的に大好きなモッズ色をベッタリと塗してみせたその度胸と度量には相当なものがある。残念ながら大々的な成功とは無縁だった様だけど、これは持ってて損は無い。


2009年08月26日

The Heavy Blinkers - Better Weather (2001)

The Heavy Blinkers - Better Weather (2001)

2001年/国内盤/SYFTレコーズ(解説:薄田育宏)

カナダはハリファックスなる街で98年から活動を始めたソフト・ロック・グループによる、サード・アルバムにして本邦デビュー盤。90年代中盤以降数多く現れたハイ・ラマズやアルミナム・グループ、或いはエレファント6勢といった夢見心地なチェンバー・ポップ/オーケストラル・ポップを身上とする連中と同調するかの如きサウンドが展開しているが、とにかくこの人達の場合そのオリジナリティに対する執着の無さにおいて他とは決定的に一線を画している。曲によってロニカ系の要素とかサイケ風味とか、サラッと自分等流の個性を上手いこと取り込んで時代性にマッチさせるのがシーンに生き残る上での最低限の必要事項とするなら、ここでの彼等は自分達の未来像になぞこれっぽっちも目を向けていない。ジャンルを違えば例えばザ・ステアーズとかと被るほどの無邪気なリサイクルぶりは、趣味性のみに拠って立つ脆さを孕んではいるものの、総じて清々しい聴後感を残す。俺これサジタリウスの未発表のデモ・テープとかいわれたら信じてたかも。


Popsicle - Stand Up And Testify (1999)

Popsicle - Stand Up And Testify (1999)

1999年/国内盤/発売:zetima.inc 販売:ソニー・ミュージック・エンタテインメント(解説:渡辺芳子)

アルバム・ジャケットに写るアンドレアス(フロントマン)の風貌があまりに不気味なので、一見さんにとっては購入する際ちょっとした勇気が必要になるかも知れない一枚。でもこれは快作。スウェディッシュ・ギター・ポップの老舗バンドが放った4作目のアルバムは、アトミック・スウィングの才人ニコラス・フリスクをプロデューサーに迎えたこともあってか持てるポテンシャルが一気に開花。同郷でいうとハッピー・デッドメンとワナダイズ、この両者の丁度中間点に位置するかの様なバランスのいい作品に仕上がった。グランジ的重さを忌避した明朗なギター・リフが元気に駆け巡るハード・ポップから、北欧ならではの透明感溢れる情緒が鮮やかに物語を彩るスロウ・ナンバーまで、どの曲も無駄/余剰な部分が一切無い。我が国で泡沫の如く沸き立ったスウェディッシュ・ブームとは終ぞ無縁なまま、ひたすら地道に活動を続けて来た苦労人ならではの旨味がギュッと凝縮された全11曲。これを聴かない手はないだろう。例によって中古なら安いぞ。


2009年08月16日

That Uncertain Feeling - 500/600 (1995)

That Uncertain Feeling - 500/600 (1995)

1995年/国内盤/発売:江戸屋レコード 販売:BMGビクター(解説:佐藤政彦)

帯には「マンチェスターの誇りを高らかに継承する」とか書いてあるけど、江戸屋レコーズのスウェディッシュ・スウィーツのラインからのリリースということで、てっきり物好きなスウェーデン出身のバンドがマンチェ系のサウンドを鳴らしてでもいるのかと思いきや、これがまんまズッパマリな英国マンチェスター出身の4人組だった。まったく、紛らわしいことったらない。それはともかくとして、よもやブリット・ポップ華やかりし頃のイギリスに、これ程までにオリジナリティを度外視した見事なまでのマンチェ・サウンドの蘇生例に出逢えるとは思ってもみなかった。「ワシ等がロックいうたらコレしか無いんじゃあああ!!」との開き直った叫びが楽曲の端々からビシビシ伝わって来る、いわば一分の隙の無い完コピ。僕よりもうちょっと年上のマニアの方が聴けば、あ、ここはあのバンドのあの曲のここのフレーズ、とか瞬時に指摘出来そうな位、その「型」への没入感と音楽スタイルの再現度は高い。ニュー・オーダーとかザ・フォールとかカメレオンズとか、今更入手困難なバンドの似非オムニバスとしてのクオリティはピカイチだ(誉め言葉です)。


Snug - From Solar To Polar (2000)

Snug - From Solar To Polar (2000)

2000年/国内盤/エイベックス・グループ(解説:坂本麻里子)

英国ロンドン近郊はブラックネルという街で、まだ10代半ばの頃に結成された4人組パワー・ポップ・バンドによるセカンド・アルバムにして、本邦デビュー盤。一聴して、この当時にしてまだハタチそこそこの連中が作ったものとはおもえない達者な楽曲が並んでいるのにまず驚かされる。とかくこの手の年齢的に若いバンドの場合、音楽的な稚拙さを「若さ故の弾けたアマチュアリズム」みたく換言して言い訳してみたりする場合が多いけれど、彼等についてはその心配は一切無い。M1やM6の様な90年代型ギター・ポップの典型ともとれる曲はまあ及第点として、例えばM3やM5、或いはM8等のメロディとハーモニーに重きを置いたミドル・テンポの楽曲群に、このバンドの非凡な才能がしっかりと宿っている。何より嬉しいのは、例に出して申し訳無いけどミジェットやアッシュとかを聴いた時に時折感じる「おい、これってメタルか?メタルのリフなのか!?」との不安が最後まで過ぎらなかった点。インフルエンスに気軽にメガデスやディスチャージとか挙げるのはアンタ等の勝手だが、の後に続く台詞を十分考慮した傑作といえよう。


Air - 10000Hz Legend (2001)

Air - 10000Hz Legend (2001)

2001年/国内盤/東芝EMI(解説:梶野彰一)

これを聴きながら僕が真っ先に思い浮かべたのが、何故だかかのムーンライダーズ。恐らく両者に人脈的接点なぞ無かろうし、音楽的に見てもさほどの共通項は見当たらない。そもそもフランス人たるこのユニットが、ムーンライダーズを知っているとも思えない(本盤に参加したバッファロー・ドーターのメンバーとの会話で名前くらい聞かされたかも知れないが)。ただ、その音楽に対するアプローチの仕方が、どうも個人的には似通っている様に思えてならなかった。様々なジャンルの音楽から万遍無くその断片を手繰り寄せて、しれっと己のスタイリッシュな音楽性へ昇華させる手際の良さ、或いは、重箱の隅を突付こうとする輩の先手を取った理論武装に抜かりの無い、ある種嫌味ですらある衒学趣味等、文字にするとかなりネガティヴな印象を与えてしまいそうだが確実に個性の拠り所となっている部分に、我が国のベテラン・バンドに相通ずるものを嗅ぎ取った訳だ。フレンチ・エレクトロの枠組みをアッサリと超えた贅沢極まりないハイブリッドたる本作はだから、ウチとしては特異な印象を残す一枚となった。


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